2009-07-28

夢からさめて。

目が覚めたら、彼が隣にいた。

そうだ。
昨日はあのまま泊ってしまったんだ。
お酒を飲んだ訳でもないのに、
記憶がおぼろげだ。
雨のせいで感情がたかぶっていたのかも。

もう帰らなくちゃ。
美紀はとっさに思う。
今日は土曜日。
斎藤くんとデートの約束があった。
約束の時間にはまだ間に合う。

彼の目が覚める前に、ここを出たい。
急いで支度をしようとすると、
ベッドの中から腕をつかまれた。

「行かないで。やっと会えた。」
彼が美紀をじっと見つめる。

「私も。ずっと一緒にいたい。」
と言いかけて、代わりに
「約束があるの。」とだけ、言えた。

「そうか。」残念そうな彼。

彼は美紀の手をつかんだまま起き上がった後、
美紀の眼をじっとみつめる。
「今すぐ、どうこうできると思っていない。
でも、こうして一緒にいたい。
僕が一緒にいたいのは君だから。」

美紀はあいまいにうなずく。

このまま、時間は止まればいい。
そう思っても、時間が止まることはない。
すべてを捨ててやり直したいと思っても、
容赦なく日常はやってくる。
そこから逃げることはできない。

でも、昨日と同じ私ではいられない。
彼といるのがこんなに幸せだと
知ってしまったから。
たとえ他の人を傷つけても、
自分にうそをつくことはできない。

彼に会うということは、
たくさんのものを捨てなければならない。
たくさんの人を傷つけなければならない。

決まりかけた結婚。
両親との関係。
安定した将来の生活・・・。

いろいろ考えると、
変えるのは難しいことばかり。

でも、闘っていこう。
自分にうそをつかないために。
「不倫でしょ。」と後ろ指をさされても、
自分が自分でいられるように。

強くなろう。
この先どうなるか分からないけど、
少なくても今この瞬間だけは、そう思う。

すっきりした気持ちで、
美紀は彼のいる部屋を出た。


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2009-07-27

やっと会えた。

振り返ると私服姿の彼。

もうあの美術館にはいないのかと思った。
もう会えないかと思った。
いろんな感情がこみあげてくる。

何でもなさそうにしていたいのに、
気がついたら涙が出ていた。

恥ずかしい。
でも、止まらない。

その様子に気づいた彼は、
ちょっと驚いた様子。

涙で何も言えない美紀を
「会いたかった。」
そう言って抱きしめてくれた。

この半年の時間は何だったんだろう。
時間が解決してくれると思った。
会わなければ、忘れられると思った。

好きになっちゃいけない。
そうずっと思っていた。
会えないことがこんなに苦しいなんて
今まで気づかなかった。

彼の奥さんのこと、娘のこと、
斎藤くんのこと、
いろいろあるけど、今はいいや。

今だけはこのままで。
すべてを忘れて、
今はこうして彼と抱き合っていたい。
たとえすべてを失っても。




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2009-07-24

浮気?

外に出たら、雨は上がっていた。
美術館の外は公園。
美紀は公園を通って駅に向かう。

彼に会えなかった・・・。

そんな思いで、
美紀の心はいっぱいだった。
「斎藤くん」という彼氏がいるのに、
彼に会えるかもと思ってしまったのが、
そもそも間違いだったのだろうか。
こういうのを浮気というのだろうか。

彼に会えなくて少しだけホッとした。
でも、やっぱり会いたかった。
もう一度だけ彼の笑顔が見たかった。

美紀は自分の考えに集中していた。

「小林さん・・・?」

後ろから声をかけられて、
振りかえるとそこには彼がいた。




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2009-07-23

忘れられた約束

画の正面に立ち、じっとそれに見入る。
美紀のいつもの習慣だ。
先ほどの雨のせいで人は少なく、
ゆっくりと正面を陣取ることができた。

でも、いつ彼が現れるかと思うと、
画を観ていても周りばかり気になってしまう。
どうしても観たいと思っていた画だったのに、
その画の存在感は間違いないのに、集中できない。

美紀は待っていた。彼が現れるのを。
静かな美術館で、
どこからか、彼の声が聞こえるかと、
全身を耳にして。

閉館のアナウンスが流れ始める。
もうすぐ8時。
初めて彼に声をかけられたのは、
この時間だった。

閉館に向けて、何か仕事をしているのかも。
仕事を終わらせてから、
美紀のところに来るのかも。

そんな美紀の期待はあっさりと裏切られた。
係員のおばさんがにこやかに近づいてくる。
「もう閉館のお時間ですので。」
気づけば、お客は美紀一人のようだ。

彼に会えなかった・・・。

もう半年も経っている。
メールでの約束なんてきっと忘れているんだ。
そんな昔の約束、まだ覚えている方がおかしい。

あの雨の中、必死でここまでやって来て、
ドキドキして待って、何だかばかみたい。

何を期待してたのだろう。私。



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2009-07-22

約束の場所

その美術展は「当たり」だった。
日本の美術館は狭い。
美術展の良し悪しは、
その狭い展示スペースに
どれだけいい画が集められるかにかかっている。

1枚でもお気に入りの画を見つけて
そこから何かを感じ取れれば
美術展に行った価値があるのだろうけど、
いい画がそろっていればいるほどその確率は高くなるからだ。

でも、美紀は全然画に集中できない。
「これは、いい画だな。」
と思ってもその世界に入り込むことができない。

それは、彼との約束があるから。
何となくうわの空で美術展を一巡したあと、
美紀は「これ!」と思った画の前に戻ってくる。

美紀の大好きな画家の画。
そして、彼の大好きな画家の画。

彼もきっとこの画が一番好きだろう。
話さなくても分かってしまう。
何となく。

そして、声をかけられるとしたら
この画の前だろう。



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