2009-03-09

本当にやりたいこと。

「ここが私のいるべき場所?」
どんなにうまくいっている時でも
麻紀にはいつもそんな“迷い”があった。

就職説明会の当日。
麻紀は講師として読む予定の原稿をもう一度読み返した。
営業で使う耳当たりのよい言葉が並べられている。
これをきいた女子学生は「やりがいのある仕事ができる会社」「かっこいい先輩」
として麻紀のことをみるだろう。
その効果は目に見えるようだし、会社が麻紀に期待しているのもそれだろう。

仕事として書いた原稿。
出来はカンペキ。
「これでいいんだ」
そう思いながらも、麻紀はまだ迷っていた。

就職説明会会場の壇上に上がって会場を見回すと、
見回す限り黒、グレーのリクルートスーツ一色。
私もそうだったなと懐かしく思いながら、
今、この子たちの将来がかかっていると思うとまだ気が重い。

「私がこの会社に入ったのは・・・」
原稿を読み終えた。
すぐ近くの女子学生は、目をきらきら輝かせて尊敬のまなざしでこちらをみている。

「やっぱり私が伝えたいのはこんなことじゃない。」
そう強く感じて、麻紀は続ける。
人事課の担当者が「えっ?」という顔でこちらを見ているのを横目で確認しつつも、
止められない自分がいた。

「みなさん、今日もリクルートスーツで就職活動がんばっていますね。
リクルートスーツを着ると、みんな同じに見えてしまうけど、
本当はみなさん一人ひとりがすばらしい個性をもっています。

一生勤められるような自分に合った会社を今すぐ決めることは、
正直に言ってとても難しいことです。

でも今自分が好きだと思うことを考えてみてください。
ネームバリューとかステータスとか安定性とかそういうものをまず置いておいて、
「私はこれをやりたい!」というものをまず考えてみて。
そして会社を決めてください。
会社が内定を出すんじゃない。まず、あなたたちが選ぶんです。

その結果、一つの会社にずっといなくてもいい。
ただ、今この瞬間を後悔しないように生きて。

いくらでもやり直しはきくけど、今の自分にうそをつかないで。
それが私の先輩としての意見です。」

しばらく沈黙。
そのあと会場からぱらぱらと、徐々にたくさんの拍手。

人事担当者の「まったく、仕方がないな」という表情。

麻紀は「やっちゃった・・・。」と思いながらも、
すがすがしい気分で壇上を降りる。

「ここを出たら退職届を書こう。
そしてあのとき内定を出してくれた出版社をもう一度受けなおそう。
年齢制限があってもかまわない。何とかがんばってみよう。
遠回りしたけど、きっと間違っていない。」
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