2009-03-11

不妊治療はやめられない。

もうやめないか。」
夫が言った。
千春は37歳。
不妊治療を始めて2年が経っていた。
それは、千春が最も恐れていた言葉だった。

「子供をあきらめるってこと?」
千春は笑顔を作って、軽い感じで言ったつもりだった。
でも千春の顔はひきつっていて、
夫には半ば泣いているように見えただろう。
正直なところ、千春は泣きそうだった。
これだけお金を時間も体力もすべてをかけているのに、
子供ができないなんてあり得ない。


「可能性がゼロでない限り続ける」
千春はそう決めていた。

不妊治療って今でこそ普通に使われるけど、
やってみた人にしか分からない。
お金も時間も異常にかかる。

体はだるい。気持ち悪いし、体力もない。
排卵日には決まってやらなくちゃいけない義務感。
そのうえ、努力すればどうにかなるものでもない。

「どうして、私だけがこんな目に?」

世の中の母親なんて、こんなに子供のこと考えてない。
子供のこと、欲しがってない。
世の中には幼児を虐待する親も、子供を捨てる親もいっぱいいるのに。

「子供が欲しい!子供が欲しい!子供が欲しい!」

その思いばかりが先立って、何も手につかない。
その素振りはできるだけみせないようにしてた。
でも、毎日一緒にいる夫には隠せない。

このままでは私たち二人までだめになってしまう。
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テーマ : 不妊治療
ジャンル : 結婚・家庭生活

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